BED j.w. FORD 24SS ‘last morning’


spring summer 2024 -last morning-

‘たとえば、真夜中の夢から覚め、朝日にうたれ、昼が訪ねてくる。

光のはやさにおびえながら、それが動きをやめないことに安らいでいる。

枯桜をみながらも、また桜の季節がやってくる安堵を知っている私たちは、

繰り返されるものが、どうして、いつまでも新しいのかを知っている。

しかしこれは、いつもとは違う最後の朝だ。同じ朝はもう来ない。

一度きりのこの朝は、これらの服と同じく、見たことがある気がするが、

実のところ、見たことがないものに違いない。

長夜の後の、次の始まりだった。’



今季2024年春夏は、日本を飛び出してパリでランウェイを行い発表したコレクション

雰囲気ある会場と穏やかなリズムで流れる音楽に、

洋服が歩く様に目を奪われ、心を踊らされる。



カジュアルにもドレスにも、

決して派手ではなく、さりげなく、

繰り返し見てしまった後に気づけば引き込まれてしまっていた、感覚

言葉は無くとも、ショーに使用された音楽で 日本のブランドだ、ということに胸を張って

表現されていた 侘び寂び

日本特有の美意識の中で、パリでの堂々たる10分間に感動しました。



‘ BED j.w. FORD における色気の定義、あるいは魅力的なアリュール(allure)とは、

リアリティの上に立つ 「不意に心を奪う存在感」に宿っています。’



袖を捲り、襟元の1つや2つ、ボタンを開ける

シルク100%の艶やかなシャツでその着こなしはらしくない。

ブランドが大切に育んだ綿シルク生地

これまではシルク9% コットン91%であったのに対し、

シルク20% コットン80% の混率で新たに加わったオリジナルテキスタイル

素材本来の性質を最大限に引き出すよう、

コットンの適度なハリとコシ、シルクの微光沢と柔らかさ

その両方に手を加えることなく、分量のみで辿り着いた上質さ



敢えてレギュラーなシャツに。

この生地からこそ、狙わずにさりげなくこなした着こなしが惹きつける



スポーティーなトレーニングパンツにスパンコール

一点一点全て手作業で取り付けられ、

敢えて不揃いでまばらに配置された様は、

長年穿き込んで一部のスパンコールがこぼれ落ちた姿

それは時間の経過によって表れた美しさであり、

劣化や否定的にとらえず、

変化が織りなす多様な美しさを「寂び」として、肯定し形にしたもの



現代に必要ないガンフラップはバイオリンの型に

デザイナーが愛する音楽への熱は、

楽観的にもアイコニックなデザインに変化させられています。



このブログを書く上で、

日本特有の美意識である 侘び寂び について深く掘ろうとしました

その中で見つけた、

「日本の美意識は、欧州文化のように論理的には説明できないものだ。」

確かにそうなのかもしれません。

侘び は内面的な豊かさ であり 寂びは表面的な美しさ

特に内面的な部分を伝えるのは難しい


ただその内面的な部分であり美学を

素材の組み合わせであったり、着こなしであったり、

掛け合わせることで生まれた存在感や雰囲気が

今回のショーにも、来季2024AWのランウェイにも、

デザイナー山岸慎平として、ショーのスタイリングも自身で行ったことによって表現された、

侘び寂び が至る所に隠されていると思います。



強要はしないです。(笑)

共感を覚えたら、共有させてください。

今季の BED j.w. FORD もよろしくお願いします!