“Falling rain said yes to the boy”

常に日常の中にある些細な幸せや風景や美しさを軽快かつウィットに富んだ表現で
多くの人々の心を掴んできたMASUのパリで二度目のショーとなった24AW。

雨は好きですか。
僕は正直あまり得意じゃ無いです。
服は濡れちゃうし外に出る気力も薄れてしまうしお店は暇になっちゃうし
楽しみにしていた予定がなくなってしまったり。
でもその反面、雨に濡れたパンツの裾はどこか情緒的な雰囲気を感じるし
雨の中歩くカップルの彼氏の服が半分濡れている様は優しさを感じられて素敵だし
雨の日だからこそ来てくれるお客さんとは長く話せるし、外は雨なのにその風景を見ながら
家でゆっくりする時間は普段の休日とは違う特別感がある。

これまでの前向きな意味合いでの日常の中の幸せや輝きではなく
雨に限らず傷や悲しさ汚さ。当たり前にマイナスとされているシーンの中にある
一縷の美しさを以ってそれらを肯定しようとするのが今季のMASU。

https://www.shelter-web.jp/SHOP/masu_aw24_studsjk.html

テーラードジャケットに施された傷のようなダメージを覆うように配置された
スタッズ達はまるで瘡蓋のようで、クラシックの代名詞を壊し新たなジャケットとして昇華されている。

レーザーカットで焼き切られたパーカーはそれら無数の傷が花の模様を成す意味。
雨の滴る蜘蛛の巣に見出す虹色。

傷があるけど美しい。暗いのに光を感じる。

僕らはこれから死ぬまで沢山悩むし苦しいことも起こるし
想像を絶する別れを経験するだろうし大きな怪我をしてしまうかもしれない。
新しい1000円札はラーメン屋の食券機には入らなくて食べたかった昼飯を見送るかも。
そんな大小関係ない自分の心に落ちる陰に少しでも前向きな気持ちを探ろうとするその時に
この服達が寄り添っていて欲しいです。